身内だけの緩いお約束によりモータースポーツが行われているわけではありません。
ルールが厳格に適応させられた事例は数々ありますが、この2017年のQatar International Rallyもその一つ。

2017年 中東ラリー選手権の開幕戦として開催されたのが、Qatar International Rally。
16台の参加申込がありました。

この年、FIAは地域選手権参加者にもFT3 安全燃料タンクの装着を義務化し、
そのルールの最初の適応が、このQatar International Rallyでした。

実際に参加受付した車両は10台。
決まったばかりの安全燃料タンクの装着が厳格に運用されるとは思っていなかった参加者も多かったようです。

このラリーにFIAから派遣されたTechnical Delegateがいなければ、2017 Qatar International Rallyが世界的な注目を浴びることは無かったでしょう。
FIAのTechnical Delegateが車検で指摘したことは、極めて単純でした。

安全規定であるJ項の厳守

FIA Technical Delegateの進言により出された裁定が以下に残ってます。

参加受付した台数の半数にあたる5台が、国際格式のQatar International Rallyの参加から除外。

その結果、5台でのスタートとなりました。


しかも、残った5台のうち1台も、キルスイッチ、手動消火器、赤色非常灯がFIA規定に合致しないことにより、スタートまでに再車検を受ける条件での暫定出走に。
再車検に合格しなかったことで、このCar No.4も選手権対象外になったようです。

2017年 中東ラリー選手権 開幕戦は、わずか4台の出走で行われ、ハードなラリー設定により優勝候補のナッサー・アルアティアもリタイヤし、中東ラリー選手権での完走はわずか2台。

2017 Qatar International Rallyは、SUBARU WRX VABのRashid Al Naimiが優勝となりました。

2017年 FIA 地域ラリー選手権の最初のイベントで、参加台数の半分が車検落ちし、さらに、2台しか完走しなかったことで、FIAは、急遽、2017年の規定を見直し。

FIAにおける見直しの結果、FT3 安全燃料タンクのGroup A カー および Group N カーへの装着は、義務から推奨に変更されました。

2017 Qatar International Rallyにおいては、主催者による車検上の注意点がコミニュケーションで示されていましたが、

猶予期間が無かったという指摘もあり、それ以降、重要な規定改訂に関しては、ラリーガイド、特別規則書による事前案内、さらにコミニュケーションによる案内を行うことに。

そして、この 2017 Qatar International Rallyから2年後の2019年には、FT3 安全燃料タンク導入までの十分な余裕期間が経過したと判断され、Group A カー および Group N カーへもFT3 安全燃料タンクの装着が義務付けとなりました。

昨年は、JAF(申請者がJAFなので)の申請により、APRCのモントレーとラリー北海道については日本国内登録のラリーカーに関しては、FT3 安全燃料タンクの装着が免除されました。

2020年の今年については、何らアナウンスがないことから、この免除は該当しないと現時点では判断できると思います。

2017 Qatar International RallyでのFIAの対応の捉え方にはいろいろな意見はあるでしょうが、ルールはルール、特に安全規定に関しては、厳しい裁定が行われる可能性があるということは忘れてはいけないでしょう。

国際格式のラリーに参加の皆様は、FT3 安全燃料タンクの装着が義務であることをお忘れなく。

FT3安全燃料タンク、受注再開